グレゴリオ聖歌の音階
まず、グレゴリオ聖歌の教会旋法には大事な音が2つあり、それがフィナリス(finalis)とドミナント(dominant)
フィナリスは旋律の終わりに来る音、現代の主音に相当
ドミナントは旋律内で繰り返し使われまくる軸になる音、現代の属音に相当……というわけでもなく結構違う。
8つの旋法
旋法は8つあるが、これらは4つの正格旋法と対応する4つの変格旋法(プラガル旋法)というのに分けられる。
変格は対応する正格とフィナリスが同じだが、音高の範囲(アンビトゥス (ambitus) という)とドミナントが違う。
変格には対応する正格の名前にヒュポ(hypo-)をつける。
旋法は順番に
- ドリア dorian
- ヒュポドリア hypodorian
- フリュギア phrygian
- ヒュポフリュギア hypophrygian
- リュディア lydian
- ヒュポリュディア hypolydian
- ミクソリュディア mixolydian
- ヒュポミクソリュディア hypomixolydian
※イオニア(長調)ionian とアエオリア(短調)aeolian、ロクリア locrian は初期はない
基本ルール
フィナリスは
- ドリアがレ
- フリュギアがミ
- リュディアがファ
- ミクソリュディアがソ
変格正格同じ
ドミナントは正格ではフィナリスの5度上、変格では対の正格ドミナントの3度下
ただしこのルールでドミナントが「シ」になる場合、1つ上げて「ド」にする。
具体的にはフリュギア、ヒュポミクソリュディアに適用される。
アンビトゥス(音高の範囲)は正格がフィナリスから1オクターブ、変格がフィナリスの4度下から1オクターブ
つまり正格では一番下、変格では大体真ん中らへんにフィナリスが来る
構成音は全部白鍵とする
具体的な音階
以下に全部書き下す。フィナリスは[]、ドミナントは()で囲う
ドリア
[レ] ミ ファ ソ (ラ) シ ド レ
ヒュポドリア
ラ シ ド [レ] ミ (ファ) ソ ラ
フリュギア
[ミ] ファ ソ ラ シ (ド) レ ミ
ヒュポフリュギア
シ ド レ [ミ] ファ ソ (ラ) シ
※ドミナントに注意、フリュギアの(ド)から3度下げるのでこう
リュディア
[ファ] ソ ラ シ (ド) レ ミ ファ
ヒュポリュディア
ド レ ミ [ファ] ソ (ラ) シ ド
ミクソリュディア
[ソ] ラ シ ド (レ) ミ ファ ソ
ヒュポミクソリュディア
ミ ファ [ソ] ラ シ (ド) レ ミ
補足
- (ヒュポ)ドリアと(ヒュポ)リュディアではシが半音下がってシ♭になることがまあまあある
- 音高範囲は絶対でなく1, 2音上下にはみ出ることもある